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年金生活者がFXで利益を得た場合の税金はこうなる


年々少なくなる年金を補うためにFXや株式をはじめる年金世帯は増加傾向ですが、少額の資金で多額の利益を期待できるFXでは、取引結果次第ではより多くの税金の徴収対象となります。今回は年金生活者がFXで利益を得た場合の税金を見てみましょう。

抑えておきたいFXの取引で税金が発生するケース

そもそも、FXの取引で税金が発生するのはどのようなケースが当てはまるのでしょうか。もっとも基本的なポイントとして、取引によって利益が生じても決済注文を発注しない限りは損益が確定しないので課税の対象外であるのは大前提となります。仮に大きな利益が生じた場合でも、決済するまでは「含み益」として扱われるので決済のタイミングをずらすことで支払う税額を圧縮できるのは見逃しがちですが重要なポイントの1つです。
FXで得た利益は税制上では雑所得とみなされ、所得に対して20%(復興特別所得税込みを含めると20.315%)が課税されます。給与所得者や扶養控除の対象であればこのルールと確定申告が必要となる所得額を把握しておけば確定申告でトラブルになることはまれです。しかし年金収入はFXと同様に雑所得として扱われるため、年金収入額とFXで発生した利益の合計によって確定申告の要不要や課税対象となるか、繰越控除の有無も変わってきます。

確定申告が必要となる年金生活者はどのような人か

公的年金等の支払いを受けるときは、原則としてその年金に応じた一定の金額を控除した残額に5%を乗じた金額が源泉徴収されています。

年金所得者の申告手続きの簡素化を図るため、平成23年の改正税制では、

  • 公的年金等の収入金額が400万円を超える
  • 公的年金等以外の所得の金額の合計額が20万円(※)を超える
  • 医療費控除や1年目の住宅ローン控除申請などで、そもそも確定申告を必要とする
  • その他の理由で確定申告をしなければならない

の条件に当てはまる方以外は個人で確定申告をする必要がなくなりました。
このうちFXの取引で発生した利益から税金を納めるための根拠とされているのが、「公的年金等以外の所得の金額の合計額が20万円(※)を超える」です。
FX取引をしている年金生活者で確定申告が必要になる具体的なケースを見てみると、

  • 年金収入400万円以下でFXの利益は20万円以下…確定申告不要、利益は非課税、繰越控除なし
  • 年金収入400万円以下でFXの利益は20万円以上…確定申告必要、利益は課税、繰越控除なし
  • 年金収入400万円以下でFXの利益はマイナス…確定申告選択制、利益は非課税、繰越控除あり
  • 年金収入400万円以上でFXの利益はプラス…確定申告必要、利益は課税、繰越控除なし
  • 年金収入400万円以上でFXの利益はマイナス…確定申告必要、利益は非課税、繰越控除あり

の5つがあげられます。

ほとんどの人が当てはまる年金収入400万円以下であれば、FXで生じた利益が20万円以下なら確定申告は不要で税金も徴収されません。もちろん、FX単体で20万円を超える所得があったり、バイナリーオプションやeワラント、CFDなど他の雑所得と合算して20万円を超えれば、確定申告や課税が必要となります。年金収入400万円以下でFX取引で損失が出ていれば、確定申告不要で非課税となります。しかし確定申告をすることで損失を繰り越しして利益が出た年に利益と相殺して見かけ上の利益を減らして納税額を圧縮する「繰越控除」の対象となります。
ここまでは年金収入が400万円以下の場合を見てきましたが、400万円以上の年金所得があればFXの取引で利益が発生すると20万円以下の利益でも確定申告と課税の対象となります。逆に損失が出た場合は、確定申告をすることで繰越控除の対象とすることができるので確定申告をするほうが有利です。

おわりに

給与所得者や扶養家族と比べると、年金生活者がFX取引をすると税制上の扱いは複雑であり、気軽にはじめられるとは言いにくい状況にあります。うっかり納税ミスをしないように、年金生活者がFXをはじめるときには、年金受給額とFXで発生した利益をキチンと把握して確定申告をするようにしましょう。

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