FXの取引で利益が発生すると、金額によっては確定申告や納税をする必要が生じます。得られた利益から20%(20.315%)を税金として納めるのは懐に痛いですが、FXで大きな利益をあげると税金以外にも社会保障で大きな負担が発生することは見過ごされがちです。今回は、FXで生じる利益と社会保障負担の関係について見てみましょう。
日本の社会保障の仕組みのおさらい
FXで生じる利益と社会保障の負担についてみる前に、ざっくりと現状の社会保障の仕組みについて見てみましょう。ごく大雑把に分けて、日本の社会保障の基本となるのは年金を別にすると、「国民健康保険」と「健康保険」に大別できます。国民健康保険と健康保険はそれぞれ、
- 国民健康保険…自営業・自由業者が加入する保険であり、前年度の収入に基づいて翌年の保険料が決定されるため、支払う保険料の変動が激しい
- 健康保険…給与所得者が加入する保険であり、給与所得に基づいて保険料が算出されるため、支払う保険料は比較的安定している
という特徴があります。
日本国内に住んでいて日本国内で働いているのであれば、基本的に国民健康保険か健康保険のどちらかに加入しています。健康保険に加入している給与所得者であれば毎月の給料から天引きされるため、社会保障の負担を実感する機会は多くありません。
しかし自営業者や自由業者が加入する国民健康保険では、保険料は天引きではなく納付という形をとり、負担を実感しやすいという特徴があります。
FXで儲けて保険料の負担が増える人、変わらない人
大きく国民健康保険と健康保険に分けられる社会保障の負担ですが、FXの取引で利益が出たときに関係してくるのが、国民健康保険の保険料です。
国民健康保険料は上限が設定されているものの、
- 世帯所得
- 加入する人の数
- 40歳から64歳の人の数
によって決定されます。
国民健康保険では、前年の所得が多ければ多いほど、また加入者数が多ければ多いほど(40歳から64歳の人が多ければ尚更)保険料は高くなります。また、住んでいる市区町村によっても負担額が計算方法や対象となる資産が異なり、負担額が数万円から数十万円も開くことは珍しくありません。
国民健康保険料を左右する前年の所得
このように世帯構成や住んでいる場所によって大きく異る国民健康保険の負担ですが、もっとも大きく影響するのが前年の所得額です。前年の取引結果とその所得次第は、国民健康保険料の一括支払金額が課税限度額である80万円程度まで跳ね上がる可能性があります。80万円の国民健康保険の負担を背負いきれずに支払いの分割や先延ばしを求めても、納付額は単純所得から算出されているので基本的に低減する方法はありません。
厄介なことに国民健康保険の納付書は税金関係の書類ではもっとも後発となる7月初旬に送られてきて、その支払いは7月末からはじまるため、どうしてもその存在を忘れてしまいがちです。
最大で80万円程度と、税金や社会保障の中ではもっとも大きな金額を占める国民健康保険の支払いは、事前にある程度の準備をしておかないとかなりの負担となります。
おわりに
このように、増加する傾向にある税金や各種負担の中でも金額的に見るともっとも大きいのが国民健康保険は、FXやその他の方法で大きな所得を得ると生じる厄介な負担の1つです。支払い開始時期も他の税金とは外れた7月からと忘れがちな時期であり、その支払いや扱いには注意したいと言えるでしょう。
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