アベノミクスで様々な経済指標は上向き傾向にあるとは言っても、日常生活でその上向きを実感する機会はあまりなく、収入を増やすためには資産運用に本腰を入れる必要があります。少額の資金からはじめられて大きな利益を期待できる外国為替証拠金取引(FX)は、資産運用の手段として注目を集めていますが、注意したいのが取引で利益が生じたときに税金を納める必要があること。今回はサラリーマンを例にとって、FXにかかる税金について見てみましょう。
FXにはどのような税金がかかるのか
FXの取引で生じた所得にかかる税金は、所得にかかる税金である所得税ですが、その計算方法は多少複雑です。ポイントとなる点を見てみましょう。FXで課税対象となるのは、決済した為替損益とスワップ差益を合わせた「実現損益」です。課税対象となる実現損益は独自に計算して求めることもできますが、基本的には年度末の確定申告に合わせてFX会社が発行する「年間損益報告書」に記載されている金額をそのまま流用します。注意したいのは、この年間損益報告書はFX会社ごとに別に発行されるため、複数のFX会社で口座開設・取引をしている場合はそれぞれ発行してもらう必要があることです。
金融商品の取引で発生した所得については、商品ごとに所得の種類や課税方法が異なり、FXでは雑所得として扱われ、2012年の税制改正以降は分離課税の対象となっています。
分離課税とは、給与などの他の所得とは合算せずにFXの実現損益だけに所定の税率を掛けて納める税額を算出する方法であり、税率は20%(2013年から25年は復興特別所得税を上乗せした20.315%)が上限です。
2012年の改正以前は、FXで発生した所得は全ての所得を合算した金額に税率をかけて税額を求める総合課税の対象でした。総合課税では最大50%の税率がかかりましたが、分離課税の対象となったことで上限が20%と格段に引き下げられ、投資家に有利な条件となりました。
働きかたによって異なるFXの課税額
一律20%(20.315%)の税率をかけた金額を所得税として納める必要があるFXにかかる税金ですが、税金を納める前にもう一点注意しておきたいポイントとして、納税額を決めるための確定申告の対象となる「確定申告」があります。その年の1月1日から12月31日までの課税期間中の収入と支出をまとめて、所得を計算した申告書を提出する確定申告は、所得税や市民税の納税額を決定する重要な書類であり、FXにかかる税金は確定申告の内容によって左右されると言っても過言ではありません。
ここで注意したいのが、働きかたや所得の得方によって確定申告の有無が変わってくる点です。
確定申告の対象となる主な例を見てみると、
- 給与収入額が2,000万円以下の会社員…給与所得や退職所得以外の所得が20万円を超える場合
- 主婦・学生・家事手伝い…所得が38万円を超える場合
- 年金収入が400万円以下の年金生活者…年金にかかる雑所得以外の所得が20万円を超える場合
- 自営業・自由業…所得の種類にかかわらず、38万円を超える所得がある場合
が確定申告の対象となる代表例として知られています。
税金をとられることから嫌われる確定申告ですが、悪いことばかりではありません。確定申告をおこなうことで、取引で発生した損失を繰り越して翌年以降の利益と相殺する「繰越控除」や、異なる金融商品の間で損益を合算する「損益通算」など、いくつかのメリットもあります。一定以上の利益が発生している人はもちろん、損失がかさんでいる人や他の金融商品の取引をしている人も、確定申告をするメリットは大きいと言えるでしょう。
おわりに
このように、同じFXから得た利益でも、働きかたによって納める必要のある金額は大きく異なり、各種控除や通算の不確実さが確定申告を複雑にしている要因の1つです。しかしキチンと必要な書類を作成して提出することで得られるメリットは大きく、見逃す手はないと言えます。
関連記事

FXTAX

最新記事 by FXTAX (全て見る)
- 専業でトレードを行うなら法人化したほうがいい理由 - 7月 20, 2016
- サラリーマンがFXをしたときにかかる税金とは - 3月 7, 2016
- 会社にばれないようにこっそり確定申告する方法 - 2月 7, 2016